LPWAとは?「長距離・低消費電力」無線技術
IoT時代の到来に先駆け注目を集めている「LPWA」。
IoTに最適と言われている「LPWA」は一体どのようなモノなのか?
できるだけ簡潔にまとめてみたいと思います。
LPWA(Low Power Wide Area)は、「長距離・低消費電力を実現する通信規格」の総称です。無線技術というと、Wi-Fiや5Gなどです。
一般的には周波数が高くなるほど無線のデータを高速化できますが、その分通信距離が短くなります。LPWAでは、Wi-Fiよりも低い周波数を利用することによって、長距離まで届く通信を可能としています。また、データの通信速度を抑える代わりに低消費電力性を実現しています。
簡潔にいうと、広い範囲のM2M( Machine to Machine)の通信に向いているのです。
LPWAが注目されているのは、IoT普及の大きな壁となっていた「電源・コスト・リアカバー」の課題を解決できるからです。
これまで、IoTの普及拡大を阻んできたのが、電源とコストの問題でした。IoTは、従来のインターネットとは異なり、高速かつ高頻度にデータ通信が行われるため、長時間稼働できるような低消費電力が求められます。従来のIoTデバイスでは携帯電話網を使うため通信コストも高く、消費電力も大きくなるため、一定のケースでしか活用されていませんでした。こういった課題を解決するために登場したのがLPWAです。IoTでは、低速容量ながら、高速ながら高頻度にデータ通信が行われるため、長時間稼働できるように低消費電力が求められます。また、低速低容量ながらも多数のデバイスに接続する必要があり、省電力・低コスト・広範囲なエリアカバーが求められます。
広域・長距離通信
広域・長距離通信はLPWA最大の特徴と言えます。Wi-Fiで約100~300m、Bluetoothは約10~30mと言われすが、LPWAは、通信規格や通信環境によって様々ではありますが、数km~数十kmの広範囲伝送を実現できるとされています。
低消費電力
条件によりますが、LPWAはボタン電池1つで、数年単位の稼働も可能なほど低消費電力です。基地局までの距離が遠いような悪条件下のの屋外でも活用できるなります。
低コスト
従来のLTE回線は1回線あたり、月数百円〜数千円の通信コストがかかりますが、LPWAなら(規格にもよりますが)年額100~の利用可能です。
LPWAにはいくつかの種類がありますが、ライセンスが必要なライセンス系(通信キャリア無線方式)とライセンス不要のアンライセンス系LPWA(特定小電力無線)の大きく二つの通信方式に分けられます。
ライセンス系LPWAとは、大手通信事業者(キャリア)の運営するセルラーネットワークを用いたLPWA規格です。移動通信規格の標準化団体である3GPPによって策定された規格で、既存の携帯電話で運用されている免許の必要な周波数を使用しています。従って、従来のけい痛い電話のように、総務省から包括免許を取得した大手通信キャリアによってサービスが提供されます。
カバレッジが広く、高品質のサービスになりますが、運用コストは高くなります。
例:NB-IoT、LTE-M、Cat.NB1
アンライセンス系LPWAは特定小電力無線とも呼ばれ、無線免許が不要で利用できる規格です。様々な規格がありますが、どの規格も長距離通信に適したサブGHz帯(900GHz帯)の周波数を使用しています。ライセンス系と比べるとコスト面では優れますが、エリアによっては利用できないケースもあるなど、サービス提供事業者によって品質が左右されます。
例:SIGFOX、ELTRES、 LoRa/LoRaWAN、ZETA、Flexnet、IM920
LPWAが新たな通信インフラとして普及していくことは間違いありません。5Gなどの超高速ネットワークなどと用途によって使い分け、様々な通信ニーズに対応するでしょう。
参考
IoTBASE:https://iotbase.co.jp/column/knowledge/2614/